政策が経済すべてを左右するわけでは無いが転機になる。(-。-)y-゜゜゜政策と経済

政策が経済すべてを左右するわけでは無いが転機にる。(-。-)y-゜゜゜

米国の大型減税法案、上下院が一本化へ調整本格化 

2017/11/10 15:00
日本経済新聞 電子版

 【ワシントン=小竹洋之】トランプ米政権が目指す約30年ぶりの抜本税制改革を巡り、上下両院が異なる法案をまとめた。連邦法人税の税率引き下げの時期や連邦所得税の税率区分などが争点で、与党・共和党による一本化の作業が本格化する。財政赤字の膨張を抑えつつ、企業や家計の懐に影響する減税をどう設計するのか。まだ仕上がりは見えず、2017年中の法案成立には不透明感が漂う。

 
9日、下院とは別にまとめた税制改革法案を説明する共和党の上院指導部

9日、下院とは別にまとめた税制改革法案を説明する共和党の上院指導部

 共和党の上院指導部は9日、下院とは別の税制改革法案をまとめた。(1)法人税の税率を19年に35%から20%まで引き下げる(2)所得税の7段階の税率区分を維持し、最高税率だけを39.6%から38.5%に引き下げる(3)州税などの支払額を連邦税から差し引ける地方税控除を全廃する――といった内容だ。

 下院が9日の歳入委員会で可決した法案には、18年からの法人税率引き下げ、所得税率の4段階への簡素化、地方税控除の部分的な廃止などを盛り込んだ。だが上院には、法案を修正せざるを得ない事情があった。

 一つは保守強硬派の反発だ。上下両院は今後10年間で最大1.5兆ドルの財政赤字拡大を容認する予算決議を可決したが、下院案はこの上限を突破するという試算もある。財政の悪化を懸念する保守強硬派が離反する恐れもあり、法人減税の1年先送りをはじめとする財源対策を講じて、賛成票を固めなければならなかった。

 
上下両院は税制改革法案の一本化を迫られる
  上院 下院
法人税 2019年に
35%から20%
まで引き下げ
2018年に
35%から20%
まで引き下げ
所得税 7段階
(10~38.5%)
4段階
(12~39.6%)
地方税
控除
全廃 部分廃止
医療費
控除
維持 廃止
学生ローン
利子控除
維持 廃止

 もう一つは、低中所得層への配慮だ。野党・民主党は今回の税制改革を「まさに大企業と富裕層のための減税だ」(ペロシ下院院内総務)と非難する。18年秋の中間選挙に向けて支持基盤の期待をつなぎ留めるには、庶民の恩恵を意識せざるを得ない。

 このため上院案は所得税の最低税率を10%から12%に引き上げるのを見送り、医療費控除や学生ローンの利子控除の廃止も撤回した。共和党のハッチ上院財政委員長によると、夫婦と子供2人で年収7万3000ドルの世帯では、年1500ドルの減税効果があるという。

 だが上下両院の法案を一本化する修正協議は、難航する恐れがある。ライアン下院議長は「経済成長に焦点を当てているのはどちらも同じだ」と指摘。法人減税の1年先送りも排除しない考えをにじませたが、アジアを歴訪中のトランプ大統領が納得するかどうかはわからない。

 地方税控除を全廃すると、ニューヨーク州カリフォルニア州などの住民負担がとりわけ重くなる。都市部選出の共和党の下院議員が反発するのは必至だ。所得税最高税率引き下げは「富裕層優遇」との批判を強める結果になりかねず、下院が法案に盛るのを見送った経緯がある。

 下院はいまの法案を11月下旬までに本会議で可決し、上院は別の法案で近く審議を始める見通し。共和党のマコネル上院院内総務は「減税で米経済のギアを上げる絶好の機会だ」と意気込むが、双方が妥協して着地点を見いださない限り、17年中の法案成立はおぼつかない。